“シネバイイノニ”

そして何よりも恐ろしいのが、そのペナルティの基準の曖昧さ。

“悪い人間”とは何か?

そのルールとペナルティの恐さを自覚してから望人が始めた事、それは“良い人間”になる事だった。

それがペナルティを犯した時の免罪符になる訳ではなかったが、しかし一日一善…善行を積む事によって“自分が悪いくせに人に唱えてしまう”という境遇に立つ可能性は、それは単純に考えて低下するのではないだろうかと、そう考えるようになった。

何より、ちょっとした行動で誰かが喜んでくれるという事は素直に嬉しいものだと、望人はそう感じる。

酉賀望人は変わった。
< 102 / 177 >

この作品をシェア

pagetop