“シネバイイノニ”
ちっ……と、瀬織は舌打ちをする。
予想通り、中年男は瀬織の座る座席にやってくると、端に座る瀬織以外に誰も居ない座席の中で、わざわざ瀬織の隣に密着するように座り出した。
自分の手で肩をもみ始め、その後両手を天高く突き出してウ~~ン、と唸る。
続いてッアァ~ッ!と溜め息。
よそでやればいいのに、わざわざ人に密着してきてやっているから隣に居る瀬織はたまらない。
瀬織はできるだけ視界に入れないようにして、中年男とは反対の方向を向く事にする。