“シネバイイノニ”
11.接触


『死ねばいいのに』


そう思う程腐り落ちた人間は確実に存在する。

しかし同時に、そんな言葉を投げかける事がはばかられる人間も間違いなく存在している。

友人や父親、母親の姿を思い起こして望人はそう思う。

朝の通学路を歩きながら、望人は物思いにふけっていた。



あの時、あのトラックの運転手は間違いなく死んだ。

先日の記憶が蘇る。

夕方のニュースに映し出された、高速道路に横倒しになり炎上したトラック。

そしてその後に突然飛び込んできた、トラック運転手が過去に殺人事件に関わっていたという情報。

そしてそれは後日、確定的な情報として報道された。
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