“シネバイイノニ”

ただ毎日自転車で駅まで向かい、電車に揺られて片道1時間かけて登校し、怒られる事も褒められる事もなくそつ無く一日を過ごし、再び元来た道を辿り家路に着く。

きっとこれからもそうレベルの高くないそれなりな大学に入学し、それなりな企業に就職し、それなりな人生に満足して生きていくのだろう。

望人は自分の人生を半分呆れ、半分絶望した様な冷めた感情で、そう捉えていた。

そんな何でも無い日常だからこそ、帰り道の出来事は望人にとって非日常的で刺激的ではあった。
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