“シネバイイノニ”

望人は“偶然というものは恐ろしい”と思い、また“恐ろしいほどの『偶然だった』”と頭に刷り込む必要があった。

偶然以外の何者でもない事は誰の目から見ても明らかだったが、それでも『まるで自分が殺したみたいじゃないか』という後味の悪さはなかなか払拭されない。

だからこそ、望人の頭の中では何度となく“偶然”という言葉が駆け巡った。
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