“シネバイイノニ”

瀬織が自己紹介でクラスに与えた第一印象は誰もがそう思った通りインパクトが強く、一時間目終了後の休み時間になっても瀬織に話しかけようとする者は一人も居なかった。

その次も、その次の休み時間も。


「なんかあの名越ってさ、感じ悪いよな~。園田、お前ちょっと話かけてみろよ。第一号で勇者だぞ」

望人の机に集った中島が園田の大きく飛び出た腹を肘で小突く。

「ええ~~、なんか無視されそうで嫌だよ…」

ほら早く行けと園田を茶化す中島の声を他所に、望人は瀬織の表情をじっと見つめる。

瀬織は机に座って微動だにせず、じっと新しい教科書を眺めていた。
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