“シネバイイノニ”
一度渡り廊下に出て砂埃舞う校庭を横に歩くと食堂がある。
その食堂には望人が到着した時には既に長蛇の列が出来ていた。
一年生は最上階に教室がある為、昼休みの購買の競争は必ず二階や三階に教室のある上級生に負ける。
購買も食堂もそれは同じで最上級生の三年生が列の前方を占め、これが年功序列というものかと望人はいつも理不尽な悔しさを覚える。
そしてか弱い一年生である望人は売れ残った不人気のパンを3つ購入し、校舎に戻ろうと渡り廊下を歩いていたその時。
校庭の植え込みの隅で弁当のおかずを子猫に与えている瀬織の姿を見た。