“シネバイイノニ”
13.対比
『私はね…、言葉で人を殺せるの』
放課後、帰り支度を整えている望人は瀬織に声を掛けられた。
「一緒に帰りましょう」
一瞬の沈黙を置いて、残っている生徒達の視線が望人に集中する。
『酉賀が編入生を落としたのか?』
『酉賀の奴、そんなに積極的だったっけ?』
『普段大人しそうに見えて酉賀クンって案外ヤラシーのかも』
そんな思考がクラス中に巡っている事を、望人はすぐに察知して慌てて瀬織を連れ、教室を飛び出す。