“シネバイイノニ”
1階へ降りて靴箱で外履きに履き替え、校舎を出る。
駅までは一本道であったが、先導する瀬織は駅に向かわずに近くの川の河川敷へと向かう。
望人は気になっていた。
わざわざ呼び出された理由。
瀬織は……“気付いているのか”と。
「……死んでよかったみたいね。あの2年」
「………」
望人は答えない。
「この世には、死んだ方がいい人間も数多く居る」
夕焼けの照らす河川敷で、瀬織は言い聞かせるように呟いた。