“シネバイイノニ”

1階へ降りて靴箱で外履きに履き替え、校舎を出る。

駅までは一本道であったが、先導する瀬織は駅に向かわずに近くの川の河川敷へと向かう。

望人は気になっていた。

わざわざ呼び出された理由。

瀬織は……“気付いているのか”と。


「……死んでよかったみたいね。あの2年」


「………」

望人は答えない。

「この世には、死んだ方がいい人間も数多く居る」

夕焼けの照らす河川敷で、瀬織は言い聞かせるように呟いた。
< 170 / 177 >

この作品をシェア

pagetop