“シネバイイノニ”
4.フォーチューン

冬休み明けの3学期の授業にもようやく慣れてきた。

望人は黒板を見てそう思う。

教師の右手から生み出された文字を、数列を、記号を、とにかく急いでノートに書き写す。

理解するのは後からでもいい。

寧ろ、ノートにコピーもペーストもしない内に授業の形跡が黒板からデリートされる事の方がよっぽど恐ろしい。

そう考えると、ただ書き写すだけの授業自体が酷く事務的に思えるのだった。
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