“シネバイイノニ”
「もしも玄関のドアを開けてからの一歩目が反対の足だったら、歩数が微妙に変化して犬のフンを踏んだかもしれない」
おかまいナシにフォーチューンは続ける。
「はたまた今日は電車で座席に座れたからいいものの、もしも朝食を抜いてボーっとして座り損ねたら、電車から出た後意識が朦朧として、つまづいて転んで頭を打って死……」
「待て待て待てッ!何を言ってるのかサッパリわかんないぞ!」
望人は目の前に掌を広げてフォーチューンの語りを制止する。