“シネバイイノニ”

普段は殆ど外出する事の無い休日に、交差点で瀬織は元々少し釣りあがっている眉をさらに吊り上げて人の流れを見ていた。

「ねェ~、ねェねェ~、チョット。誰か待ってんの?ヒマなら一緒にどっか遊びに行かない?」

突然、瀬織の視界外左方向から声がかかった。

一瞬、その誘いが自分に向けられているものと判断できなかった瀬織は周りを見渡して、そして自分の左方向に革ジャンを身に纏った金髪の男が立っている事を確認する。
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