借金取りに捕らわれて
「すみません、ありがとうございます。」



その女はメガネを受け取りかけると、外見と同じく地味な顔になってしまった。



メガネ一つでここまで変わるもんか?



勿体ないな…



自分がどんな顔してるか知らないんじゃないか?
鏡を見たことがないのか?とまで思う程、見事に自分の良い面を潰している。



不意に、女の視線が下を向いた。



「あの…血が…」



視線を追うと左手から血が流れている。





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