借金取りに捕らわれて
「それなら、良い考えがある。あれだ。」




そう言って彼が指指したのは『花ノ衣(ハナノイ)』と書かれた暖簾がかかった一件の居酒屋だった。




私たちはその居酒屋の前でタクシーを降りた。




どうやら武寅さんの目的地は始めからここだったらしい。




「ここに協力者がいる。」



「協力者…ですか?」




「ここ、俺達が世話になってる先輩の店なんだ。

先輩に協力してもらって隼人を呼び出す。

先輩からの電話なら必ず取るはずだからな。
ついて来な。」



「あっ、はい。」



先に店に入って行った武寅さんを追って小走りで後に続くと、元気な「いらっしゃい」の声に出迎えられた。




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