借金取りに捕らわれて
私は驚いて、さっきまで伏していた目が菖蒲さんに釘付けになった。




「あの子強引なとこあるからね~」




今度は菖蒲さんが呆れた顔で溜め息をつく。




「きっと、こっちはその気がないのにそのうち彼女にするから関係ないとかなんとか言って一方的に彼女呼ばわりしてるのを、武寅が信じて無理矢理連れてきちゃったのね。」




す、凄い!!まるで全てを見ていたかのようだわ!!




「そ、そうなんです!!」




始めて私の主張を信じてくれる人に出会えたことが嬉しくて、目にうっすら涙が滲む。




「まぁ取り敢えず、座りなさいな。」




菖蒲さんに進められるままカウンターに座ると、直ぐに温かいお茶を出してくれた。




「マ、マジかよ…」




「取り敢えずあんたは」と、たじろぐ武寅さんに何やら菖蒲さんが耳打ちをすると…




表情を固くして武寅さんが席をたった。




「ちょっと出てくる。
あや姉、悪いがこいつに何か食わしてやってくれ。」




「はいはい。気をつけて行ってらっしゃい。」



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