借金取りに捕らわれて
「おまえなー俺を何だと思ってんの?」



「恐い借金取りのお兄さん…」



「恐いって…
まだ何もしてないだろ?」



私は息を飲んだ。



「するんですね!?“まだ”ってことはこれから恐いことするんですね!?」



「お前なー!!いい加減顔上げろ!!」



業を煮やした恐いお兄さんは私の胸倉を掴んでグイッと顔を強引に上げさせた。




「男なら潔くしやが…れ…」



お兄さんと目が合った瞬間、二人とも目を見開いた。



そこに立っていたのは、昼間メガネを拾ってくれた男の人だった…


朝の出で立ちとは打って変わって、短く切られた髪は無造作に立てられ、黒のスーツをビシッと着こなしているが、あの人に間違いない!!



まさか借金取りだったなんて!!


< 17 / 354 >

この作品をシェア

pagetop