借金取りに捕らわれて
目尻に滲んだ涙を脱ぐってぐっと喉に込み上げてきた吐き出したい思いを飲み込む。




「すみません…もう大丈夫です…」




秋庭さんの顔はまだ見れないけれど視線を下げたまま胸から離れた。




「強い奴だな…」




ぽんぽんと大きな手で撫でられると、堪えていたものがまた込み上げて来る。





折角押さえ込んだのに…









「くそがーーーー!!」



突如それまで静まり帰っていた広場に、二階堂の狂気を含んだ叫び声が響き渡った。




地面に倒れていた二階堂は叫び声を上げながら立ち上がり、地面に手が着きそうなくらい前屈みになってよろよろと歩くとこちらに鋭い視線を投げつけた。



咄嗟に秋庭さんの服にしがみついたのを、秋庭さんは大丈夫だと優しく私の背中を撫でて落ち着かせてくれる。




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