借金取りに捕らわれて
「誰だよてめぇはー!!」





さっき私が“秋庭さん”と呼んだのは二階堂が吹っ飛んでった後だし、小さな声だったからきっとまだ地面に伸びてる二人以外には聞こえなかったんだと思う。



その証拠に取り囲んでいる男達も秋庭さんが誰なのかと互いに顔を見合わせている。




「俺にケンカ売っておいて、生きて帰れると思うなよー!!なぶり殺してやるよー!!」






怒り狂って今にも飛び掛かって来そうな二階堂と反して、秋庭さんは凄く冷静で視線だけを動かして周りの状況を伺っていた。





「ヒロ、走れるか?」






私にだけ聞こえる声で言い、縦に小さく首を振ったのを確認すると秋庭さんは直ぐ側に落ちていた眼鏡を拾い私の手に乗せてくれた。





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