借金取りに捕らわれて
だけど、それとは別の重みを感じて手の平を見ると車のキーが一緒に乗っていた。





「門の前に車がある。俺が合図したらそこまで走って隠れてろ。いいな?」




私はまた小さく首を縦に振って即座に眼鏡をかけた。





「おい!!てめぇ!!シカトしてんじゃねーよ!!
小柴の女といちゃつきやがってよ~!!
これからお前をなぶり殺すって言ってんだよ!!」






「……小柴の、女?」






それまで冷静だった秋庭さんの声にどこか不快感が滲んだ。


私の破れた服と倒れている武寅さんを順に見て、小さく「そう言うことか…」と何か納得したように呟いたがその口調は怒りを押さえこんでいるようだった。




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