借金取りに捕らわれて

「昔とは人数が違うだろ。」




「そうだな。あん時はもっと多かったな。」




「こんな人数さっさと片付けるぞ。」




「言われなくても…」




と、二人か言ってる間にも輪の中から一人、鉄パイプを振り翳して襲って来た。


それをかわし秋庭さんが強力な拳で沈めると、その空いた輪の切れ目に向かって私の背中を押した。




「ヒロ、走れ!!」





恐怖を頭から振り払い、車のキーをきつく握り締めて秋庭さんが押し出してくれた方向にただ走った。




私を捕まえようと男達が襲って来るけれど、そいつらを秋庭さんが片っ端から地面に沈めていく。





一度も後ろを振り返らず門まで息が切れるまで走った。





もう…今日は走ってばっかりだ…





門までたどり着くと冷たい壁に手を付きながら息を整え、そこで始めて振り返る。