借金取りに捕らわれて
良かった…




飛び起きた武寅さんは怒っているのに、怒る元気があることに私は心底安堵して、自然とまた涙が溢れてきて、両手で顔を覆いすすり泣いた。





今日の私はダメダメだ…
一度緩んだ涙腺は中々閉まってくれない…






「武寅さん…良かった…」






「なんだ、お前か…無事に逃げれたのにまた戻ってきたのかよ。」





私だと分かるとまた地面に手足を投げ出し、武寅さんは呆れたように呟いた。






「武寅さん、ごめんなさい…」





「何言ってんだよ。巻き込んだのは俺の方だろ?謝らないといけねーのは俺の方だ。」





「だけど、私が捕まったから…
捕まらなかったらこんなに傷だらけには…」






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