借金取りに捕らわれて
その背中を見つめながら、自分の中にまた沸々と苛立ちが膨れ上がっていくのを感じていた。



好意を寄せる女が他の男を心配して走って行く。



おいおい…
あんまりじゃないか?



しかも、俺の事は名字で呼ぶくせに武のことは名前で呼ぶ…



どういうことだ!?



今日会ったばかりの奴を…




確かに俺と武を比べたら怪我の酷い武を心配するのは分かる。



それでも、俺だけを見ていれば良いと思ってしまう…




これ以上俺が心配しない様にどこかに閉じ込めておこうか。




そして、俺だけのものになればいい。




体も心も。




俺だけに縋って、俺だけに笑って、俺だけに顔を赤らめて、俺だけに…




< 245 / 354 >

この作品をシェア

pagetop