借金取りに捕らわれて
今の気持ちを顔に出さないでいられるのは、長年の仕事の賜物だろう。

そうでなければ、今頃…






はぁ…


俺は密かに心の中で溜め息を吐いた。


しょうがないな…








それでも…



「許すことは出来ない。だが…殴るのは武のケガが治ってからにする。」



シュンとしていたヒロの顔がみるみる笑顔になっていく。


ヒロは分かっているのだろうか?
俺がこんなにヒロに弱いことを…









「隼人がそこまで惚れるとはな~」



俺達のやり取りを見ていた武が、珍しいものを見せてもらったとでも言いたげに、ニヤニヤと腹のたつ笑みを傷だからけの顔に浮かべていた。



「うるせー。武、こいつに手ー出すなよ。」



腕に力を込め、一層ヒロを引き寄せる。





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