借金取りに捕らわれて
「今、柏木さんは出ることが出来ませんので、代わりに用件を伺いますが?」



『出られない?』



「えぇ、眠ってしまって。」



『……………。』





長い沈黙が続いた。




相手は何も言わないが、その沈黙が用件を伝えるべきか悩んでいるものではないことは伝わってきた。





『失礼ですが、貴方は柏木さんとどういったご関係ですか?』




長い沈黙を破ったのは、そんな質問だった。




用件を伝えて良い相手かどうか判断するための質問のようにも聞こえるが、そういう趣旨で聞いてきたわけではないだろう。












だが…












どういう関係か?





「……………。」





今度は俺が沈黙する番だった。







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