借金取りに捕らわれて
「複雑な関係な知り合いです。」




我ながら馬鹿げた答えだが、間違ってもいないし、もし電話の相手がヒロに好意を寄せているなら遠回しに牽制にもなるだろう。


俺の思い過ごしで、相手がただの知り合いの可能性もあるが、ただの知り合いなら次の相手の出方で全てが分かるはずだ。







『そうですか…では、言伝てをお願いします。』






どういう関係か聞いても、今度は動揺した様子はなく以外にもあっさりとした反応だった。



俺の思い過ごしかと密かに安堵の溜め息を吐きかけた時、電話越しの男の雰囲気が変わった。






『以前からお話ししていました通り、近々そちらに伺います。
どこぞの馬の骨が彷徨いている様ですので、駆除も兼ねて。』





声はにこやかでも刺を含んでいるのがひしひしと伝わってくる。




< 263 / 354 >

この作品をシェア

pagetop