借金取りに捕らわれて
ドアを開けると、そこには黄色のイブニングドレスを着て今にも殺さんとばかりにメンチを切っているヤンキー…

否、真希ちゃんが立っていた。




「ヒロに手ー出してねーだろうな!」




ドアをガシッと掴んで勇む姿は、さながら噛みつこうと檻の格子に手をかける獰猛なライオンの様だ。




「まだ出してないよ。」



「あ"ぁぁ!?まだ!?」




「ちょっと通して!」と俺を押しやりどかどかと部屋に入ると、ヒロに駆け寄り膝をつく。




「ヒロ!ヒロ!大丈夫!?」




肩を揺さぶっても全く反応がないことに真希ちゃんの顔がどんどん不安で曇っていく。



「ただ眠ってるだけだ、疲れて。」



後ろから声を掛けると、真希ちゃんは般若の様な顔で鼻息荒く振り返る。



「疲れて!?あんた何やったんだよ!ヒロに疲れるようなことさせたんか!」




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