借金取りに捕らわれて
「はい!!飲みに行き――」



「そんな金あるんだー」




元気良く返事をしようとしたとき、後ろから肩に手を回され深みのある声が降ってきた。



その声の主が誰か分かった瞬間、全身の血が引いていくのが分かった。




「悪いねー、柏木さん俺に用あるからまたね。」




「林田さん、すみません…また今度誘って下さい…」



林田さんに別れの挨拶をすると、私は凍った笑顔のまま秋庭さんにアパートへと連行されてしまった。





「柏木さん。お金用意出来た?」



「すみません…まだです…」



「それなのに飲み行くきだったのか?」



痛いとこをつかれてグーの音も出ない…



「すみません…気分転換に…」



私は叱られた子供みたいに小さくなって正座をして俯いていた。

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