借金取りに捕らわれて
だからまた私が足を早め距離を作れば、それを秋庭さんがその長い足で難なく縮めてくる。



余計疲れる…



結局私が直ぐに折れ秋庭さんの好きにさせたが、横に並んで歩く以上のことはしてこなかった。


ただ二人並んで歩くだけ。




そのまま二人でビルの外に出れば、火照った頬をなぜていくそよ風が気持ちいい。


酔い冷ましには丁度良かった。


ビルの前には街灯に照らされた並木道の大通りが横切っていて、そこに差し掛かったところでさりげなく秋庭さんが車道側を歩いた。


「大通りを西に行った方が近道だ。」



なんだか意外だった。

待ち合わせの時から思っていたけれど、女性のエスコートに慣れてる感じだ。



「秋庭さんって、女性の扱いに慣れてますよね?」


「何?俺の女性歴が気になる?」


「いえ、そういう訳ではないです。」


きっぱりはっきり言えば、苦笑いが返ってくる。


「少しは気にしてくれると嬉しいんだけど。」




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