借金取りに捕らわれて
気にならないと言えば嘘になる。
だけど、過去の女性達のことを考えても仕方がない。

私が気になったのは、借金取りのお兄さんがここまでエスコートが上手いこと。
どんなに沢山の女性と付き合ったからといって、女性の扱いが上手くなったとしても、自ずとエスコート事態が上達するというわけではないだろう。

それにレストランでの流れるような慣れたフォークとナイフの使い方…

時々垣間見えるそういった所作はどこかで習っていたような、そんな感じがする。



「今日は特別な夜だからな。畏まってるだけだ。」


「特別？」


「俺達が初めてデートした日で、何より付き合った日だろ？」



特別…

その言葉が急にこそばゆくなっていく…

何だろう…仮で付き合うことを決めてから、色んな事がこそばゆくなる現象が…

だけど…


「俺としては、今日の特別事項にヒロと初めて体を重ねた日ってのも入れたいんだけど。」


なんて、そんないつもの調子の発言で、そのこそばゆさも早急にどこかへ行ってしまった。



「秋庭さん…私のリハビリする気ないですよね？」



< 323 / 354 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop