借金取りに捕らわれて
「すみません、少し酔ったみたいで…
武寅さん、ちょっとお借りします…」


「えっ、えっ、えっ!」


急に抱きつかれた武寅さんが焦っているのが分かるけど…
ああ、いい…


「ちょっと、これは!俺的には嬉しいんだけど!こんなところでマズイだろ!?」


そうは言うが、武寅さんが離れる気配はなく、逆に肩に躊躇いがちに手がそろそろと延びる気配がした。


「だ、だが、酔ったなら仕方ないよな~
な、なんか、昨日と雰囲気が違うから、余計ドキドキするな…」












「なら、俺がもっとドキドキさせてやろうか?」



「げっ!隼人!なんでお前がここに!」



振り向くと、武寅さんの手を掴んだ見るからに不機嫌な秋庭さんが後ろに立っていた。



「あきにわしゃん?」



秋庭さんは私に眉をしかめ、それから武寅さんに鋭い視線を投げて手を離した。



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