借金取りに捕らわれて
おまけ① ファーストコンタクト ~武寅side~
視線を感じる。




しかもただ見られてるんじゃない。
これは…殺気だ。


シャンデリヤが輝く広い豪華な部屋には、立食形式でディナーを楽しむ客と給仕のために歩き回るホテルのスタッフが入り乱れていた。


人が多いせいか、どこからの視線なのか検討もつかない。


親父の命令で、ちょっとした集まりに顔を出す程度ぐらいに思っていたが…

もう俺の存在を目障りだと思っている奴がいるってことか。

まぁ、まだ非力な俺でも、いずれは親父の後を継ぐ身だからな。今から邪魔だと思ってる奴はいて当たり前か。




「武寅君。珍しいわね、こういう所に来るなんて。」




後ろを振り向くと濃紺のドレスに身を包んだ女性が立っていた。


「真実さん。お久し振りです。」


「スーツ、似合ってるわよ。」


そう言って、曲がったネクタイを直してくれた真実さんの綺麗な顔が近づいた。



すっげー良い香りするなー

いかんいかん、俺にはヒロという想い人が…



「そうそう、武寅君は会うの初めてだったわよね?紹介するわ、こちら私の妹。」


妹?


それまで真実さんに視線が釘付けになっていたせいで、言われるまで妹の存在に気づいていなかった。


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