借金取りに捕らわれて
変な人って…


職業は変わってますけどね…


「真希ちゃんが言うんだから安心ね。」


真希、いつの間に言ってたんだか…
勿論、借金のことやバイトのことは言ってないけど、その他の事は大抵母の耳に入っていることがこの30分の短い会話からでもよく分かった。

社交性抜群の真希は、うちの家族とも凄く仲が良すぎて母親だけじゃなく家族全員の連絡先をも知っている。

もしかしたら、兄や姉までも私に彼氏が出来たことを知っているかもしれないと思うと、色々気が重い。

一兄は妹に過保護だし、彩姉は妹に超過保護だし…


「でも、真希ちゃんからだけじゃなくて、浩都からもちゃんと聞きたいのよ。」


「電話しようとは思ってるんだけど、色々忙しくて。」


借金返済のためのバイトとか、バイトとか、バイトとか。時々借金の強引な取り立てをする秋庭さんから逃げたりとか…とか…



「色々ね~
あ~あ、昔は色々話してくれたのに、いつの間にかこんなに秘密主義者になっちゃって…誰に似たのかしらね~お母さん悲しいわ。」


片手で口を覆い伏し目がちにおよおよと泣く仕草がただの演技だと丸分かりでも、本当、心が痛い…


「そんな大袈裟な。秘密主義者って、そんなことないから。」



ごめん、お母さん。そんなことある…

でも、変に心配かけないように娘なりの配慮だからね!



「じゃあ…」と伏し目がちだった目がキラキラと輝いてこちらに迫ってくる。


「近いうちに彼氏さんに会わせてね。はい、指切り厳満!」


にこにこと輝かんばかりの笑顔で、無理矢理からめられた小指をぶんぶんと降る母は凄く嬉しそうで…

秋庭さんに会わせる面倒臭さとまんまとやられたな~と思う半面、久しぶりに会えた母の嬉しそうな笑顔が見れてまぁこのまま丸め込まれてもいいかな、なんてそんなことも思う。

それに、忙しく世界中を飛び回ってるお母さんが秋庭さんに会える時間なんてないに等しいしね。



それからお母さんはアパートの下に待たせておいた車で次の仕事へと向かった。


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