借金取りに捕らわれて
「変わったさ。皺が増えた。」


「あっそれは言えてる。」


ニヤリと笑えば、獅郎ちゃんが苦笑いを浮かべる。


「お互い様だろ。」


「女性にそーいうーこという?」


頬を膨らませて見せても、獅郎ちゃんは笑ってちっとも反省の色を見せない。昔っからそう。


「お前にだけだよ。」


「あら、それは喜んでいいのかしら?」


「光栄だろ?特別扱いで。」


全く特別扱いされてる気がしないんだけど…


「あーあー、これだから王様気質は。
その配慮をもう少し周りに配って下されば良いのに。天下の二ノ宮社長様になると10分しかお待ち頂けないのね。」


「約束は約束だ。」


当たり前だろとでも言うように鼻息荒く言うのに、呆れてしまう。


「そんなんだとそのうち反乱されて、玉座から引きずり下ろされちゃうんだからね。」


「………無くもないな。」


顎に握った手を当て、少し考えるような仕草をした獅郎ちゃんが呟くように言う。


「あら、心当たりでもあるの?」


「息子が反抗中なんだ。
今はぶらぶらしてるだけだが…
俺を引きずり下ろすならあいつだろうな。あの反抗的な性格、誰に似たんだかな~」



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