借金取りに捕らわれて

彼の背中に飛びついた。


と言うか、秋庭さんの背が高すぎて飛びついたよりも抱き着いたの方が正しいかも…


「秋庭さん!!殺さないで下さい!!私無事ですから!!秋庭さんのおかげで無事ですから!!」



私が飛び付くと秋庭さんは拳を上げたまま静止した。



「…………お前がそう言うなら。」



ほんの数秒だが何十分にも思えるような沈黙が流れた後秋庭さんがそう呟くと、私を含めその場にいた全員がホッと息をついた。


が、もう大丈夫だろうと私が離れると秋庭さんは腰が抜けた男に近づいて…


『ドスッ!!』


凄い音がしたが、秋庭さんの陰になって何があったのかこちらからじゃ見えない。



「あ、秋庭さん!?」



止めてくれたと思ったのに…


男を殺してしまったのかと急いで近づくと、秋庭さんの拳が男の顔スレスレのところを通り、壁にめり込んでいた。



「今日はこいつに免じて許してやる。次はないと思え。」



ドスの利いた声に男はより青ざめコクコクと首を縦に振った。