好きです。
その瞬間、息を飲んだ。
「裕介ぇ、ほら。あたしぃ、料理とか得意だからぁ、裕介にクッキー焼いてきたのぉ」
「あ、そ。今腹減ってねぇし」
「えぇ~?じゃあ、あたしをあげるぅ~」
甘ったるい声を出しながら、藤山くんの腕に絡みつく女の子。
二組には、その二人だけだった。
狭くはない教室に、二人の声が響く。
無意識に、手を握りしめていた。
なんだ、藤山くん。
私なんかより可愛い子、周りにいるんじゃない。
顔だって、スタイルだって、私より全然良いじゃない。
たち悪いなあ、もう。