好きです。
三話
「おはよう、恵子ちゃん」
「おはよう、藤山くん」
靴箱の中の上履きに触れるタイミングで彼が話しかけてくるのは、もう日常化したことだ。
違うのは、私が「おはよう」と返すようになったのと、二人の笑顔。
教室までは、藤山くんが一緒に来てくれる。
「あらー、また藤山くんと一緒。愛されてるねぇ」
「うん」
「俺も愛されてるー」
教室の前で由美は、「はいはい、このバカップルが」なんて呆れた顔をして、それに私たちが笑う。
そうしたら藤山くんが悲しそうな顔をして、またこんなことを言った。