好きです。
この、私に並んで歩く彼は
藤山裕介という。
私との関係は、
……
ストーカーの被害者と加害者?
「藤山くん、二組過ぎたよ」
「良いの良いの。横田さんを八組まで届けるのが俺の毎朝の日課なの!」
その整った顔をくしゃりと崩して笑う藤山くん。
私と藤山くんは、友達とか親戚とか、そんな繋がりは一切ない。
ただ、藤山くんが、入学式の三日後の朝、私に声をかけてから、この奇妙な関係は続いている。
多分、私が地味だから、からかわれているのだと思う。
だって、藤山くんは学年屈指のイケメンであり、運動もできて明るくてムードメーカーで、とても人気がある人物だ。
そんな相手が自分に好意を寄せているなんて言われたって、信じる方がおかしい。
はあ、早くクラスに着かないかな。