好きです。




長いような短いような廊下を渡り、八組前に到着すると、藤山くんは露骨に悲しい顔をした。




「あー、着いちゃった。また来るね、横田さん」




最後は笑顔で手を振りながら歩いていってしまう。これも毎日一緒。


ため息を吐きながら教室に入る。

藤山くんが何を望んでいるのか分からないから疲れる。

その表情を眺めて感情を読み取ろうとしても、藤山くんは純粋な笑みしか浮かべていなくて、本当に困る。




「また藤山くんのお見送り?愛されてるね」




机についたと同時にかけられた声。顔を上げると、中学からの友達の由美がこちらに近寄ってきた。



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