好きです。
二話
一日が過ぎるのは早い。
「部長、用事があるので早めに上がります」
「分かった。お疲れさま」
部活を終えて、誰もいない廊下を歩く。
文化部だから、活動は校舎の特別教室で行われるのだ。
ただひたすらに廊下を歩く。
ああ、部活がない人は楽で良いな。藤山くんとか。
あ、でも藤山くんは、私を毎日待ってるから、同じ時刻に帰るんだった。
私なんかに付きまとって損してるよ、藤山くん。
ふと、今日早帰りになることを、藤山くんは知らないことに気付いた。
特に言う筋合いはないけど、知らないでずっと待ったままじゃあ可哀想だろう。
方向転換して、二組に向かう。多分、そこで待っているはずだから。ああ、なんで私がこんなことを。