7days
「大した証拠もないのに指名手配したんでしょ」
さあっと風が吹き、どこかで雷の音がした。
「――…あまり大人をからかうなよ」
「からかってませんよ。俺は事実を言ったまでです」
確かにそれは“事実”だ。口をつぐむ。反論出来ないことが悔しかった。人の命を守る警察なのに。
俺の心の中に土足で入り込まれた。そんな感じ。見透かされているような気がして気持ち悪い。いや、見透かされているのかもしれない。
「防犯カメラぐらいしか証拠はないんでしょ?」
ほら、これは。もう。
「それぐらいじゃ指名手配しないよ。ちゃんと証拠はある」
ちくり、と胸が痛んだ。俺は今、嘘をついた。
そうだ。それぐらいしか証拠はないんだ。
「………やっぱり防犯カメラに写ってたのは本当だったみたいよ。レイ」
何を言い出すんだ?コイツ。
「刑事さん。防犯カメラの情報は公表されてませんよ」
血の気がひく。龍を見れば気まずそうな顔をして頷いた。
俺は捜査情報を話してしまったことになる。
「まあ元々知ってましたし。話しても問題ありませんよ」
問題はないと言っても、そのことをお前が知っていることが問題なんだよ。