7days
「普通じゃ公表されていてもおかしくないのに、それが公表されていない」
「だから?」
「おかしくありませんか?」
ああ。俺もおかしいと思っているよ。だけど、俺が今ここでその問いに頷いちゃいけないんだ。俺は警察なんだ。
それをおかしいと思っちゃいけない人間なんだ。
「……」
何も言わない俺にコイツは勝ち誇った笑みを浮かべて、とんでもないことを言い出した。
「四月一日、死亡推定時刻を過ぎた頃確かにコウタさんは駅にいましたよ」
「え…?」
「彼女と会う予定だったそうです。でも、それがなくなった」
彼女?彼女がいるって?
「適当に暇を潰して家に帰った時に犯人と遭遇したら?」
そんなことは……。
「暇を潰していたなんて、そしたら目撃している人もいるじゃないか!あの日は各店舗の防犯カメラも確認したし聞き込みもした!確かに彼は駅から逃げたんだ」
龍が反論する。
「駅ってのは何万人もが利用するんですよ。ちょうどその時は帰宅時間だったでしょ?今の防犯カメラの技術がどれだけのものか分からないけど同じ人なんてごまんといます」
反論が出来ない。それに俺らが知らなくてはいけないことをコイツは知っている。