7days




下條さんは四月一日の午後6時ぐらいに家を訪ねた。理由は単純明快。ただ会いたかったから。



その時にお兄ちゃんがいたかいないかは分からないらしい。



「会わなかった」



下條さんはそう言った。



それで夕食を3人で食べて午後7時半過ぎに帰って行った。そのあとに町内会の集まりに行ったらしい。



それが多分刑事さんの言うアリバイなんだろう。



「ごめん、ごめん」



何度も謝りながら話してくれた。自問するように。涙を流しながら。後悔しているんだろう。



何も言えなかった。慰めることも。何も出来なかった。



涙を流す下條さんを見つめるだけしか出来なかった。






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