7days
《――――》
《――…リュウ?リュウ!?》
「――…ああ、ごめん」
らしくない。携帯電話を耳に当てたままハンドルの上に腕を置いて前に寄り掛かかっていたが、後ろの座席に体重を預ける。
《今日は何時くらいに帰ってくるの?》
「あー、11時くらいかな。そんぐらい」
電話の向こうから母親の不安そうな声が聴こえる。
《もう大学生だから何も言わないけど…》
「何?母さん」
《ちゃんと帰ってきて》
ああ、俺は一人じゃない。そう思わせる母親の言葉。
ぎゅっと心臓が握り締められているような気がした。それでいて温かいもの。
《リュウまでいなくなったらどうすれば良いか分からない》
でも、とても儚い。当たり前じゃないもの。
「ちゃんと帰ってくるよ。心配しないで」