【短編】心のドア
「おい、雄輔。お前ちゃんと言うたほうがええで?免許やって。絶対麗ちゃん勘違いしとるやん。」


大樹のその言葉に耳は傾けてても口を動かす気力がなかった。

ため息までついてるし、俺。

だっせーな。


周りの女が麗の悪口言うとる。

それにようやく口を開いた。


「お前ら、麗の何知っとるん?悪く言うとったら許さへんで?」


なんで別れてまで俺、麗を守ってるんやろ・・・。

なに感情むき出しにしとるんやろ。

やっぱり好きやな、麗のこと。



放課後麗の靴箱を見たらまだ靴があった。

靴、取っとったら帰れへんやろ。

小学生みたいやけど・・・これで話しもできるやろ。

さっきみたいにすぐ去られることもないやろ。


そう思った時だった。

スリッパで帰って行く麗の姿。



慌てて麗の前に靴を投げた。

そしてこっちを見る麗の目はすっげー冷たかった。


「なんなん!?靴取ってたん、雄輔だったん?」

誰と思ってたん?

そんなこと、麗にする奴おるんか??

心配になったけど感情を出すことなく言った。

「そんまま帰るとは思わんやったわ。」

じゃあどうやって帰ると俺は思ってたんや。って自分でツッコミを入れたかったくらいやった。

気が動転しとって何を言えばいいのかわからんやった。



そしてまた戻ろうとする麗を俺は捕まえた。


「ほんま別れるん??」


別れたくないって言ってほしい。

前みたいに”雄輔、好きやで。”って笑顔で言うてほしいねん。

でも返って来た言葉は冷たかった。
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