【短編】心のドア
それからちょくちょく、麗と桜井が一緒におるのを見かけた。

麗は遠くにおったって気付く。

だからすれ違うときは絶対見らんようにしとった。

見るのが辛いから。

遠くで見るだけでもう十分やし。

俺のおる場所は麗の近くやないからな。

近くで見るとそばに行きたくなってしまうわ。



そしてその日々が続き、文化祭。

女の子らが着いてくるからしょうがなくまわってると聞こえた放送。


「1組の平田麗ー!!ずっとお前のことが好きやった!俺と付き合ってくれー!!」


なんや付き合ってへんやったんやな。

ほんまよかった。

・・・でもこの放送がきっかけで付き合うんやろか。


・・・絶対嫌や。

やっぱり渡したくなんてないわ。

他の男に笑いかける麗の姿なんて想像できひん。

ましてや付き合ったらキスとかやってするんやろ?


俺は急に走り出しとった。

負けたくない。

桜井に。


走りこんだのは放送室。

告白待ちかなんか知らんが、人が結構おった。

それを押しのけてマイクのそばに走りこんだ。


「わっ、ちょ何なんすか!?」

男の慌てる声に

「ちょ・・言わして。コレ?麗、平田麗!告白なんてされてんじゃねーよ。俺はフラれてもお前が好きや!やり直してくれ。」



かっこわりぃ・・。

でもこれで悔いは残らねぇだろ。

付き合って別れたのは悔いが残りまくってたからな。
< 24 / 28 >

この作品をシェア

pagetop