【短編】心のドア
「なんなん!?靴取ってたん、雄輔だったん?」


「そんまま帰るとは思わんやったわ。」


そう言いながらわたしの方に歩いてきて靴をそろえてわたしの目の前に置いてくれた。

その場でわたしはスリッパから履き替えてスリッパを手に持った。

雄輔にかける言葉が見つからん。


何も言わずスリッパをなおしに行こうとしたら雄輔がわたしの手首を掴んだ。


「ほんま別れるん??」


雄輔の方を見ると雄輔はわたしより15センチ程上からわたしを見てた。


「別れようって雄輔も言うたやん。」


そう言うと手首から手を離してくれた。

そして


「そやな。」


その言葉を聞いて今度こそわたしはスリッパをなおしにいった。

そしてまた外に出るとまだ雄輔はさっきの場所におった。


「カラオケ行くんやろ?はよ行き。」


ほんまは行ってほしくないねん。

でも・・もう心が痛くてたまらんから早く目の前から去ってほしいねん。

強がる自分がほんま嫌や。

でもプライド、捨てられへん。


「・・そやな。なら気ーつけて帰れよ。」


そう言って雄輔はわたしの目に背中を見せてどんどん離れて行った。

歩くことが出来ず立ち尽くしてわたしは雄輔を見てた。

目の奥が熱くなってきてるのに気付いたけどプライドの高いわたしは一生懸命我慢しとった。

わたしが泣くとかおかしいやん。って思って。
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