bitter×sweetな恋ゴコロ
箱の中には、最後の一粒。
本来ならば、ゆっくりゆっくり味わいたいところ。
だけど、仕方ない。
私は意を決して、素早くそれをつまんで口の中に放り込んだ。
「あーっ!」
ハジメの悲痛な叫びは無視。
「ごめん、食べちゃった」
口の中に広がるほどよい甘さを堪能しながら、“ざまーみろ”と心の中で舌を出した。
「……っ」
ハジメを見れば、ぎゅっと口を結んでじっとこっちを見ている。
……悔しがってる悔しがってる。
騙されて“おあずけ”をくらった仔犬みたい。
心なしか肩を震わせているし、涙目のような気も…
「ごめんってば。今度買ってきたときは、ちゃんとあげるからさ。」
守る気のない約束を口にして、ポンとハジメの肩を叩いて、
「だから、今はちゃんと勉強しなさい…って…え…?」
私はくるっと背を向けた…はず、だったのに……