bitter×sweetな恋ゴコロ
気がついたときには、ハジメの手が私の後頭部に回されていて……
そのまま、強い力で引き寄せられた。
そして……
「……っ」
抵抗の言葉を発する暇もなく、奪い取られた。
「もーらい。」
咄嗟に閉じてしまった瞼を開けて見れば、満足気に笑うハジメの顔。
「あー…、やっぱりこの味は苦手かも。」
無邪気にペロッと出した舌には、もうチョコの痕跡はどこにもなくて……
なのに、たった今まで、そこにあったことは明らかだった。
その熱と感触が、しっかりと、私の中に残っているから――
状況を冷静に把握しながらも、鼓動は速まっていく。
身体が火照っていくのがわかる。
だって……
「でも、こっちはスキ」
そう言って微笑んだ顔は、さっきとはまるで別人。
“仔犬っぷり”はどこへやら。
私に再び顔を寄せてきたハジメは、完全に“男”だ。
……ズルイよなぁ。
そうやっていつも、
私の心を惑わせるんだ。