bitter×sweetな恋ゴコロ
バレンタインまでもう少し。
彼氏にあげる、と張り切るユカリにつき合って、チョコの材料を買いにきた。
ここは、製菓用品の専門店。
箱やらラッピング用品やら…次々とカゴに入れていくユカリの横で、私はさっき渡されたミルクチョコレートを見つめたまま固まっていた。
どうしようか……?
「よし!これでバッチリ。アヤは?選び終わった?…ってちょっと!」
しばらくして戻ってきたユカリは、再び声を上げた。
「なんで?こっちでいいの?」
私のカゴの中には、ビターチョコ。
「新たな試み、とか?“苦手克服”みたいな?」
ユカリとは長いつき合いだから。
私が毎年、ハジメにチョコを作っていることも知っている。
そして、それが当然だと思っている。
「……違う。」
ユカリの言葉に首を振って、私はぽつりと呟いた。
「もう、ハジメにはあげないから。」