bitter×sweetな恋ゴコロ
「アヤにとっても、悪い話じゃないと思うんだ」
答えを出しかねて黙り込む私に、さらにハジメの説得は続く。
ハジメを見れば、さっきの不安気な瞳とは一転。
何やら得意気ににんまりしている。
「だって、アヤにも、俺が教えてあげられるじゃん?」
「何を?」
「“男心”」
「はっ?」
“男心”だぁ?
こんな女々しいやつに、そんなものが備わっているとは思えない。
教わろうとも思わないし、今のところ、教えてもらう必要もない。
私はただ、チョコの味見をしてほしいだけ。
そうだよ。
私の本来の目的は、それなんだ。
こんな、バカバカしい条件を飲む必要なんてない。
そもそもの次元が違うんだから。
なのに……
「アヤだって、これから先“好きな人”ができるわけじゃん?そのときに困らないように、早めに準備しといたほうがいいと思うんだ。」